アメリカの医療について、凄く衝撃的で、刺激的な言葉で表現する動画やブログがあります。ぼったくりな請求であるとか、アメリカで病院へ行くとちょっとの事で法外なお金がかかるとか・・・。すごく極端なものだと、もう病院へ行くな、とか払わず踏み倒せとか。
それらをすべて否定するわけではありません、確かに国民皆保険に慣れ親しんで、気軽にお医者さんに診てもらえる日本の環境とは異なるでしょう。しかし、アメリカの医療の良いところも陰ながらお伝えしたいです。そして必要な時に適切に医療機関を訪れることを躊躇して欲しくはないのです。
※適切な医療保険に加入している個人の体験に基づくものです。
アメリカは訴訟大国、だからこそトラブル回避が徹底している
アメリカは訴訟大国と言われています。だからこそ、事前に避けられるトラブルの種は取り除いておこうという意識が働いているのかもしれません。実際に訴訟は多いですから。
私は生物学的に女性です。ひとりの女性の立場として、アメリカの医療はとても女性に優しいと感じます。医療現場では性別に限らず、基本的にプライバシーはとても守られています。これが日本ではあまり守られていなかったような記憶があります。
女性の立場から言わせてもらうと
私がまだ20代の頃、仕事中、階段から落ちて腹部を打ったのですが、若かったのもあってそのまま通常業務を終えたことがありました。数日後、呼吸をするたびに胸部に痛みがあったので病院へ行ったのですが、カーテン1枚で仕切られた診察室で言われた男性医師の一言が若い私にはとても屈辱的でした。
医師「今日はどうしましたか?」
私「胸に痛みがあって...(階段から落ちたことを説明しようとする)」
医師「(被せるように)失恋でもした?(大笑い)」
私「胸に痛みがあって...(階段から落ちたことを説明しようとする)」
医師「(被せるように)失恋でもした?(大笑い)」
もう絶句ですよ。カーテンの向こうにいた看護師さんが入ってきて「先生、失礼ですよ、患者さんが困ってるじゃないですか!」と窘めてくれましたが、今は改善されていると期待していますが、そんなもんだったんです。当時の医師の意識って。
これだけじゃない、男性医師による不快エピソードはもう数えきれない程あったんですけどね。(今なら確実に犯罪だったと確信する行為を受けたこともあった)
徹底したプライバシーへの配慮
話がそれてしまいましたが、その点アメリカの医療における異性に対する配慮は、一般的に以下のような配慮がされているので、高い水準にあると思いました。
*患者の診断に直接関係ない質問はしない。
*異性の医療従事者が同室にいる場合は、患者の同意を得てから、検査や治療を行う
*患者が異性の医療従事者による検査や治療を希望しない場合は、対応する
*患者が他人の目に晒されないようにする、診察内容が外部に聞こえないようにする
*患者が異性の医療従事者による検査や治療を受ける際に、付き添いがいる場合は、付き添いにも配慮する
*異性の医療従事者が同室にいる場合は、患者の同意を得てから、検査や治療を行う
*患者が異性の医療従事者による検査や治療を希望しない場合は、対応する
*患者が他人の目に晒されないようにする、診察内容が外部に聞こえないようにする
*患者が異性の医療従事者による検査や治療を受ける際に、付き添いがいる場合は、付き添いにも配慮する
私の印象だと、転倒の危険や生命が危険にさらされる状況がない限り、(女性は)医師を除いて、不必要に男性と二人きりにはならないように配慮されています。これはどの年齢の女性であっても最大の安心感を生むのではないでしょうか。
また、アメリカの医療機関では、日本以上に着替えることがあり驚かされることがあります。これも必ずプライバシーが保たれるように個室があります。日本の健康診断の検査機関の様にロッカーが並んで他人が一緒に着替えるなんてことを経験したことはまずありません。
例えば、大腿部のX-ray検査を受けた時も、撮影部位のために検査用ズボンに履き替える必要がありました。そこの病院では検査技師が男性だったのですが、検査技師のそばで衝立一枚で着替えるなんてことはありませんでした。着替える場所が確保されています。
また、MRIなど設備上検査室内で着替える必要がある時は、性別を問わず、必ず技師は退室します。撮影室にすらいません。そして、着替えが終わったら私がドアを開けて技師を呼びます。(準備ができたらドア開けて呼んでねと言われる)
女性同士であっても配慮が嬉しい
女性専用の病院や検査施設、Women’s Centerは医師以外のすべてのスタッフが女性で構成されていたりします。男性が立ち入ることはありません。そして、女性専用施設といえども、介助が必要な場合以外は、着替えにナースや医療スタッフが立ち入ることもありませんし、こちらの許可なくして体に触れることもありません。同性であってもです。
必ず、
これからマンモグラフィーをするので、片方のバストをこの台にセットするために触れるけどよいかしら?
と尋ねてくれます。とにかくとても配慮されている感じがありました。
男性スタッフしかいない場合もある
一般の病院ではシフト上男性スタッフしかいない場合もあります。私は入院中、何度か心臓の超音波検査を行ったのですが、その時の技師は全員男性でした。心臓ですから、胸部や腹部に超音波を当てます。その際も大抵の病院着、ガウンを開けずにすむようになっていますし、超音波の器具をあてる時も
これから右胸のこの部分(技師さん自身の胸を指さす)の検査をするけど、良いですか?
などと逐一、同意をとってくれました。
DV被害者への支援と配慮
またDVにもとても敏感です。入院をする際に病棟のスタッフが体の傷や痣をチェックしてくれるのですが、その際も女性の看護師が必ず立ち会います。この時は夫婦間のDVも考慮して、付き添っていた夫は外で待たされます。
産婦人科でのChaperonの権利は保証されている
また産婦人科へ行くと、Chaperon(カタカナで無理やり書くとシャペロン)について聞かれます。これは立ち合いのことです。産婦人科は女性のプライベートゾーンを診察するので、医師以外の立ち合いを求める権利があります。男性医師だけでなく女性医師に対しても同様です。
また、たまにchaperonに医学生をアサインしてよいか?と聞かれることもありますが、医学生が同性とも限らないので、嫌な時は断ることもできます。理由を言う必要もありません。
良い病院には必ずフィードバックをする機会がある
日本では、というと反感を買いそうなのですが、あの町のお医者さんでのプライバシーのなさがとても不快でした。人がたくさん待っている待合室で、「今日はどうされましたか~?」と大きな声で聞かれることありませんでした?
カーテン一枚で仕切られた診察室で、自分も隣も筒抜けだったことはありませんでしたか?あれが、本当に全くないのですよ、日本でのあれは何だったのか!と。プライバシーに配慮するということは、こういう事なのか、と改めて実感したほどでした。
ただ、例外もあって、ERではカーテン一枚で仕切られていましたが、ERは生死に関わるので、まずは救命第一だからだと思ってます。日帰り手術後の回復室でもカーテンで仕切られていましたが、着替えは女性スタッフを呼んでくれて、同意を得てから下着は女性が履かせてくれました。
他にも、入院中のナースの皆さんの配慮など、もっともっとお伝えしたいことはたくさんあります。私の実際の経験としては、アメリカの医療は本当に女性にとても優しいと感じたのでした。
そして、良い医療機関はなんらかのフィードバックをする機会があります。診察後、検査後、退院後、などいろんなタイミングでフィードバックを送ることができるようになっています。これはとても良い機会で、もし何らかの不快なことがあったらフィードバックすべきです。
また、不快感なく過ごせた場合は、その旨もまたフィードバックすべきだと個人的には思っています。直接医師やスタッフにはその場で言えなかったことも、知ってもらうことができる良い機会だと私は思います。
私はしばらく日本で医療を受けていません。最近の事情はわかりません。でも過去にはとても屈辱的な思いをしたことが何度かありました。たまたま運が悪かったのでしょうか?そういうことを鑑みても、私は、アメリカの医療はとても女性に優しいと感じるのです。
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