アメリカでのフィジカルセラピー

11/08/2023

アメリカ 医療

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アメリカでフィジカルセラピーを受けた話



全身の関節に炎症が起きる病気で、アメリカで理学療法を受けたという体験談です。理学療法士による手当てと指導がどれほど価値があるかを感じた、という内容です。

理学療法をうけるきっかけ

私は全身の関節に炎症が起きる病気です。日本にいた時から、関節の痛みや腫れ、こわばりに悩まされていました。整形外科に通い、時にはマッサージや整体、果てにはエステ(これは例外)を受けたりしていました。しかし、その場は楽になっても良くなることはありませんでした。

そんな状態のまま、アメリカに移住することになり、アメリカでも医療機関を受診しました。医師から自己免疫性の関節炎を指摘され、その時とくに日常生活に不自由を感じていた部位の理学療法の受診を勧められました。
※日本で私が通っていた整形外科で理学療法を勧められたことは一度もありませんでした。

足の理学療法

最初はあまりにも歩くことが困難だったため、足の理学療法を受けました。理学療法士は、私の症状や可動域を詳しく調べ、マッサージや超音波、低周波での治療、テーピング、そして自宅で行える適切なエクササイズを指導してくれました。

そのエクササイズも、初めはこんなもので本当に効果がでるのかしら?と思うほど軽いものでして、厳しく、「少しでも痛みを感じるほどやってはいけない」と指導されました。痛みを感じたらそれはOver-DO(やりすぎ)だ、と言われたのでした。

私は実は人生の中で、理学療法を受けるのは初めての経験でした。こんな軽いもので効果があるのか?と半信半疑のまま、約1ヶ月半ほどに渡る理学療法ととエクササイズを続けるうちに、足の痛みが軽減し、可動域も広がってきました。また、日常生活の動作も以前より楽にこなせるようになってきました。




再び受けた理学療法

その後、また日常生活に支障がでるほどの腕と肩の痛みと仙骨、股関節の痛みが出たのでした。その際も医師から、通常の治療に加えて理学療法を処方されたのでした。理学療法士は、私の症状や痛みの状態を丁寧に説明してくれた上で、約4か月にわたって的確な治療とエクササイズ指導をしてくれました。

日本では、体が痛くて体調が悪い時は整形外科へ行き、時にはマッサージや整体などにも行っていました、しかしその場では少し楽になるものの、良くなったという実感はありませんでした。なぜなら、それらは治療ではないからです。

理学療法の価値

アメリカで病院の外来理学療法を受けてみて、私は以下の点を実感したのでした。

    * きちんとした医学的知識を持った理学療法士の手当てと指導がどれほど              価値があるか。
    * 安易にマッサージを受けたり、整体などを受けることの危険性。
    * 理学療法は、体の可動域を改善し、日常生活を楽にしてくれる。


理学療法士の専門性

よくSNSで○○痛にはこれをやって!というのを見かけますが、そういった動画などを配信しているどれだけの人が、きちんとした知識と資格を持っているのでしょうか?理学療法で受けたのと真逆の方法を紹介しているものもあったりします。そこで実際に調べてみました。

まず、理学療法士になるには専門的な教育課程を経て、国家資格に合格しなければなりません。日本では大学、または専門教育機関で約4年、卒業後、3年間の実務研修を経て、国家試験を受験し、合格すると理学療法士になれるそうです。

アメリカでも、大学で4年間学び(理学療法士になるための大学院へ進むための必須科目がある)、卒業後に理学療法の大学院博士課程を3年ほどで博士号を取得する必要があり、さらに実習を積んで国家試験に合格する必要があるそうです。

つまり、どちらも順調に学び、実習をこなしたとしても7年程かかるということです。ですから、彼等の専門性は非常に価値があるものなのです。

私がアメリカで実際に理学療法を受けて感じたのは、とても体に優しいということでした。私の場合は炎症性のものがあるので、特にそうだったのかもしれませんが、マッサージにしてもストレッチにしても、痛みを感じる手前でやめていることです。「イテテテテ」ということが全くなかったのです。

このことに私は凄く驚きました。だって、日本で受けた整体やマッサージは痛気持ち良いところまで、とか言いつつ、グイグイ押してきますよね。つまり、痛みに耐えられる程度までやっていたってことです。

それが、理学療法だと、痛みを感じる手前で止めるのです。そしてゆっくり、ゆっくり時間をかけてほぐしたり、ストレッチをしたり、時には超音波を当ててくれたりするのです。初めのうちは、こんなに物足りなくて効くの?という感じでしたよ。

セラピーの終わりには、かならずその日に行ったことのサマリーと自宅でのエクササイズ指導、必要なら用具(エクササイズバンドなど)をくれます。それを自宅でも時間をかけてゆっくりと行うのです。



私が実際に受けた理学療法は、2回/週で5週間単位。医療保険適用前は約6,000ドルでしたが、保険適用で約350ドルでした。これを10回で割ってみてください。日本での1回の整体やマッサージ代と同じくらいですよね?ひょとしたら整体の方が高いかも。(適切な医療保険に加入しています)私はこれを約4か月、つまり40回受けました。(請求は10回ごとでした)

私が受けた理学療法の内容は

日常生活において、体の可動域に問題がある時は理学療法を処方してもらってほしいと感じています。以下に、アメリカで受けた理学療法の具体的な内容を補足します。

    *私が受けた足の理学療法
        *マッサージ
        *ストレッチ                    
        *筋力トレーニング            
        *歩行訓練                        
        *低周波治療
        *テーピング

    *腕、肩、仙骨、股関節の理学療法
        *痛みの原因となる筋肉や関節の検査
        *超音波治療
        *マッサージ
        *ストレッチ
        *筋力トレーニング
        *テーピング

そして、それぞれに自宅で継続可能なエクササイズ指導がありました。

個人的な印象でいうと

日本では、整体師と銘打った方のSNSや動画でもアイキャッチに〇〇に効くエクササイズ!という謳い文句のものがたくさんあります。私もそれらを参考にしていた時期がありました。しかし、きちんと理学療法の治療を受けたら考えが変わりました。

整体師は国家資格ではありませんし、そもそも整体師を名乗るのには制限はなく、スキルレベルに差があり過ぎるのです。誰もが名乗れるものだからこそ、民間の整体協会が認定する資格で、一定のレベルを担保しようとするものですが、通信教育でも取得できるものです。

もちろん、それが良くないというわけではありません、実際に信頼の厚い整体師さんも大勢いらっしゃいますし、なにより経験によるものも大きいとも思っています。誤解をしないでもらいたいのは、整体師やエクササイズトレーナー、コーチそのものの否定したり是非を問う意図はありません。

理学療法を受けて感じたのは、本当に関節や腱、筋肉を傷めない知識をもっているのか疑問な、専門的な訓練や資格を持たない整体師やエクササイズトレーナーの動画があったりします。

もし、そういったサービスを利用するならば、施術、指導している人がどのようなバックグラウンドの知識を持っているのかを一度確認するのも良いと思います。体を痛めてしまっては元も子もないですから。

理学療法は高額です。しかし、ここアメリカでは、医師の処方する理学療法は保険が適用されるものがあります。理学療法士は、体の構造や運動機能に関する専門知識をもっています。日常生活で注意すべきことや、再発を防ぐためのアドバイスなどもしてくれるので、ぜひ相談してみてください。

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*About

ネコノツマコ、アメリカ カリフォルニア州在住。50代夫婦二人暮らし。アメリカ移住の生活の様子を気が向いた時に書いています。

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