最新の健康ガジェット「Stelo」と向き合った、濃密な20日間の記録。
私が数値の呪縛に迷い込み、本当の体の声に気づくまでのストーリー。
Non-diabetic(非糖尿病)の私と、Pre-diabetes(糖尿病予備軍)の旦那。
二人の最適な食習慣を見つけるために始めた、市販のCGM(持続血糖測定器)テストシリーズも、今回でいよいよ第三弾となりました。
前回までのお話
前回までは、市販のDexcomやリブレでおなじみのCGM(血糖値モニター)がもたらすメリットや、新しいガジェットが日常に加わるワクワク感など、いわば「光」の部分を中心にお届けしてきました。
しかし、今回綴るのはその裏側。実際に20日間、肌身離さずデバイスと向き合う中で見えてきた、もう一つのリアルな記録です。
想定外の激しい肌トラブルによる突然の強制終了、そして、アプリの数字に一喜一憂するうちに少しずつ心が疲弊していくプロセス……。便利さの影に隠れた、私のほろ苦い失敗談をここにつづります。
期待から一転。Steloが3日目で牙をむいた「予期せぬトラブル」
まずは、満を持して腕に装着したDexcomの「Stelo」。すでに旦那が数か月使用しているので、なぜか安心感がありました。それでも恐る恐る装着した瞬間、拍子抜けするほどの手軽さに、これからモニターの数値をうまく生かしてバッチリよ!と意気込んでいました。1つ50ドルほどの投資ですからね、無駄なく活用させてもらいましょうと。
装着後、27分ほどのウォーミングアップを経て測定された数値はやはり指先(BGM)の数値より15ほど上の数値でした。装着から24〜48時間ほどは、デバイスが体内の間質液に馴染む(調整する)期間なので、数値は参考程度にしておくのが良さそうです。
実際の測定結果を見てみると、意外に高いなと思うのがStelo。血液から測る血糖値を基本とするなら、Steloの数値は15分前のあなたの血糖値とイメージしておきます。着々と記録されていくデータ、食後のグラフ。これからどのように推移していくのかな、なんてテストする気満々でした。
しかし、そんなツマ子の出鼻をくじいたのはなんと痒みでした。装着して3日後、センサーの周りから猛烈なかゆみが襲ってきたのです。最初は気のせいだと思おうとしましたが、夜も眠れないほどの痒みがありました。
このままでは痒くて搔きむしってしまいそうだったので、旦那の持っている医療用のオーバーパッチフィルムをデバイスに貼ってもらうことにしました。これでもう物理的に掻くことはできません。そんな形でやりすごすこと数日。
結局、肌が限界を迎え、1個目は(15日間使えるのに)10日でギブアップ。旦那に剝がしてもらったところ、見事に丸く赤く腫れあがっていました。「たまたま貼った場所が悪かったのかも」と、腕を変えて2個目に挑戦したものの、やはり10日目で思わぬ出血により離脱。
この思わぬ出血とは、別に痛みがあったわけでもなく、シャワー後にバスタオルでそっと拭いていたら血がついていたのです。あわてて鏡に腕を写したらパッチ部分が血で染まっていたのです。※使用時の注意に、Stelo装着中に出血があった場合は速やかに外すようにガイドラインにあります。
結局最初の1か月キットは計20日間しか着けることができず、私の第一回目Stelo生活は幕を閉じました。
毎食が恐怖。BGMとの併用で「血糖値の沼」に病んでいくメンタル
この20日間、私はデータをより正確に把握しようと、指先穿刺の血糖値計(BGM)も併用して実測値を比較していました。これが、私を「血糖値の沼」に引きずり込む引き金になります。
ここで、これからCGMを試す方にこれだけは声を大にして伝えたいことがあります。
健康な人でも、食事をすれば血糖値は上がる。上がるのはデバイスが正常に動いている証拠であり、大切なのは1も上げないことではなく、その後の上昇幅を抑える工夫である
食事に糖質が含まれていれば、上がるのが普通なんです。当時の私は、この大前提を見失っていました。
日々計測されるSteloの数値と指先の数値の差、そして刻々とアプリに表示されるグラフ。
それが、何を食べても「上がったらどうしよう」と不安を駆り立てていきました。もうアプリから片時も目が離せなくなっていました。さらに、食事の時間となると、血糖値のスパイク(急上昇)を恐れるあまり、まともな食事が食べられなくなってしまったのです。
またグラフがすこしでも上昇傾向を示そうものなら、「上がったら動いて消費しなければ」という強迫観念から、運動への執着も始まりました。あと何回マウンテンクライマーをやる?あと何分エアロバイクを漕ぐ?心拍数は?運動強度は?
もう完全に数字に支配され、心も体も疲弊していく中で、ある時、とうとう疲れ切ってしまい、ふと我に返りました。「待って。私、何のためにこのテストをしてるんだっけ?」私が知りたかったのは、「食事を我慢すること」ではなく、「食事を楽しみながらも、スパイクさせない方法」だったはず。本末転倒な自分に気づき、ここから私の意識は変わりました。
夕食におにぎりで血糖値が安定!?「肝臓を労わる」という大発見
数字の呪縛を解き、データと冷静に向き合う中で、ある奇妙な現象に気づきました。体に良かれと思って、夕食を栄養補助流動食のエンシュアにしたり、まったく糖質を含まないメニューにしたりしていた時のことです。
なぜか睡眠中に血糖値が激しく上下していたのです。糖質を入れていないはずなのに、なぜ?
そこで、実験的に「夕食におにぎりを食べて寝る」という、一見ギルティな行動をとってみました。すると驚いたことに、睡眠中の血糖値が見事にピタッと安定したのです。
💡 血糖値の黒幕は「肝臓」だった
ここでようやく点と線が繋がりました。夕食に糖質を抜きすぎたせいで、夜間に低血糖の危機を感じた体(肝臓)が、生きるために必死に糖を作り出そう(糖新生)と暴走していたのです。
本来なら食事の糖の生産管理をすればよいはずの肝臓が、(脳から「糖が入ってこないから作っとけ!」と命令されて)毎日サービス残業に追われるブラック労働を強いられていたというわけです。
血糖値をコントロールするには、インスリンだけでなく「肝臓を労わること」が何より大切だと痛感しました。これ以降、私はただ糖質を削るのをやめました。食物繊維、脂質、たんぱく質のバランスを徹底して配慮するアプローチへ転換。
その結果、驚くべき発見もありました。食事内容と同じくらい食べる順番も重要であることを。
例えば外食でハンバーガーを食べたとき。
フレンチフライと一緒に食べると、高糖質、高カロリーなのでビクビクしていましたが、実はスパイクしなかったのです。
初めにナゲットを1つ齧って食べてから、ハンバーガーを食べたのです。まず最初にナゲットのたんぱく質が胃に入ることで、糖質の消化を遅らせてくれたようです。そして、バンズの糖質を、パティの脂質やたんぱく質がうまくコーティングして、吸収を穏やかにしてくれたのでしょう。フレンチフライは後半に食べれば我慢しなくてもスパイクしなかったのです。
(それでも量が多すぎれば影響しますよ、気を付けて)
(それでも量が多すぎれば影響しますよ、気を付けて)
今回のまとめ 心の迷宮から脱出できるのか
実は最初の計画では、Steloを丸々1か月間試す予定でした。それなのに、1個目の激しい痒みに続き、2個目は予期せぬ出血で断念せざるを得なくなり、私の心は完全に折れかけていました。
この20日間、最新ガジェットへの期待が大きかった分、体調のトラブルや乱高下する数値に、私自身の心があちこちへ激しく引きずられて本当に大変だった――というのが、今振り返る私の本音です。
ですが、ただの「痛くて痒い失敗」では終わらせたくない。そんな執念にも似た思いから、私は心機一転、もう一つの刺客であるAbbottの「Lingo」を腕に装着することを決意します。
Steloとの濃密な20日間で「本当の体の仕組み」の片鱗を掴んだ私が、次なる相棒と出会ってどう変わっていくのか。血糖値を巡る人体実験は、ここからさらに予想外の展開へと進んでいきます。

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