海外生活と老いていく親 その4

9/05/2022

海外生活と親

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義母が亡くなって

前回は、旦那が日本出張からアメリカに帰宅後に義母が亡くなったという話でした。

義母が亡くなって旦那と義弟は悲しみと共に多忙を極めました。義母は生前からの希望で葬儀を行いませんでした。このこともまた事情を知らぬ自称知人を名乗る人達からの非難の対象となったのです。葬儀もやらないなんて、なんて酷い子供達なんでしょう、と。

ご近所さんや、日ごろから私達も面識のある人達は、なぜ義母が葬儀をしないのかという理由を知っていましたし、義母の意図を汲んでくださいました。わざわざ非難の手紙を書いて送ってくるような人達は、大抵はそれほど義母とは親交があったわけではない人達でした。

葬儀は執り行いませんでしたが、旦那と義弟は2人揃ってご近所さんや各方面でお世話になった方々にご挨拶へ伺い御礼をしてまわりました。そして、二人の気持ちが少し落ち着いてきたころ、旦那はカリフォルニアへ戻ってきたのでした。

その後の手続き

義母が他界したことにより、葬儀はしませんでしたが、やるべきことがたくさんありました。

住む人がいなくなった義実家ですが、後始末をしなくてはなりません。ライフラインを解約したり、公的機関に様々な届け出をだしたり。特に銀行などの金融関係は相続手続きをしない口座は凍結されるので、引き落としを止めたり、口座を閉鎖することすらできません。こういったことに手間がとられるのですが、旦那と義弟とで優先順位を決めて、お互いができること、すぐにはできないことを洗い出し、行政書士や司法書士の方にお願いしたりしました。

義母のお別れ会

私が義母にお別れをしたのは、亡くなってから数か月後、お骨になって帰ってきてからでした。義母と深い親交のあった方々をお招きして、お食事をしながら故人を偲ぶという会を催しました。この時はもう日程がわかっていたので、旦那と私と2人揃って帰国し、皆さんにご挨拶をしたのでした。

義母が葬儀を希望しなかったのは、義母の遺志を尊重して献体をしたからなのですが、お別れ会という形で皆さんにお別れができて良かったと思います。旦那と義弟が言うには、(自宅で最期を迎えると不審死ではないかと検視が入る)検視後の対面で、義母は安らかでまるで眠っているようだったそうです。

義母は生前、寝たきりになって施設で胃ろうを受けてる知人や、施設へ順番待ちの為、在宅介護で過ごす知人の様子などを見て「ピンピンコロリ」が自分の理想の最期だわぁ、と常日頃から話をしていて、実際にそういう最期を迎えて凄いお義母さんだなと思いました。

私達にとって、老いていく親を国内に残すこと、親の死に目に会えないことがどういうことであったかを書いてきましたが、何が正解かはわかりません、人それぞれ受け止め方が違って良いと思います。義母の場合は、海外移住の前からすでに介護を必要としていたので、兄弟で体制を整えてから渡米することができましたが、それでも予期できぬことがあるというお話でした。

一方私の母の場合は・・・・

私の母は私が渡米時にようやく老齢年金が支給される歳でした。しかし、この老齢年金は今までの遺族年金の寡婦可算がなくなるので、母にとっては収入が減ることとなったのでした。私と妹は父が早くに他界したために、このことを予想していたので、(酷いと思われるかもしれませんが)父の生命保険を半額分しか母に伝えていませんでした。

このことが功を奏して、老齢年金で支給額が減った分を充填して定期的に振り込むことができました。というのも、母は山の手のお嬢さん育ちで、経済的に不自由なく育ったのでとにかく生活力がなかったのです。


そのほかにも色々な経緯があったのですが、成長するにつれて母のあればあるだけ使ってしまう経済観念は一生変わらないと思うようになったのでした。こういったことから、母が老後困らないように生命保険の1部を伝えずに隠しておいたのでした。

そうは言ってもいろいろな書類などでわかるだろう、と感じたと思います。母は生活力がない、と書きましたが、お金だけではなく、すべてのことを他の誰かに丸投げしていたのです。父が存命の時は父がすべての事務処理、財政管理を、父が病床に臥せった際は、入院から葬儀、相続手続き、すべてを私と妹に押し付けたのです。

それでも母が一人で生活するには全く問題はありませんでした。ライフラインの維持は自分でやっていましたし、日々の身の回りの世話は自分でできます。もっというと、気が向くと箱根や長野への旅行ツアーなども一人で満喫して過ごすほどでした。私は月に1度程のペースで外食へ連れ出しながら、困ってることがないか、日々どんな様子で過ごしているのかなどを雑談で聞き出していました。それがお互いに深く干渉しないで過ごせる距離感だったのです。

長くなるのでつづきます。



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ネコノツマコ、アメリカ カリフォルニア州在住。50代夫婦二人暮らし。アメリカ移住の生活の様子を気が向いた時に書いています。

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